福島の友人に会いに行く(前半)→’19.07.13~14

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 2019年春、そろそろTに連絡しようと思っていた矢先、向こうから連絡が来た。 『引っ越しました! よかったら遊びに来て!』  我々が生まれ育ったのは、東京都内某所。  と言っても、あまり都会の雰囲気はなく、よっぽど山梨や相模湖の方が親近感を覚えるような地域である。  Tは高校卒業後、浪人期間を経て美大に通い、卒業後は結局美術系の仕事にはつかず、普通に会社員をしていた。  しかし、どうも街での社会人暮らしは、彼女には向かなかったようである。  『田舎が足りない! 私にもっと田舎を!』と言って、昨年から福島県内の某村へと移住してしまったのだ。  今、地域活性化や若い人に移住してもらうため、自治体が制度を組んで、住居、仕事のあっせんをしてくれるところが増えているらしい。  ある村のそれに応募して、受かったとのこと。 「私、4月から福島に住むことになったよ」 「え」  吉祥寺のビヤホールでいきなりカミングアウトされたときは驚いたが。  彼女らしいというか、そのエネルギーに感嘆するばかりだが、何より向こうに住んでからのTがそれはそれは楽しそうで、こちらも嬉しい限りだ。  実は去年の夏にも、遊びに行った。  しかしそのときは制度上、他の移住者(全員女子)とのシェアハウス状態で泊まるのは難しかった。  私が会津若松市内のホテルに泊まり、朝から車で村に行き、お昼を一緒に食べてすぐ帰ってしまったので、少ししかいられなかった。  1年経つと、次の移住者のためにそのシェアハウスは開けなければならない。  彼女が引っ越したというのは、シェアハウスから出て、借家に移ったという連絡だった。  決まった、行こうではないか。  昨年行ったときに持たせてくれた、きゅうりとじゃがいもとトマトと湧き水が忘れられない。  美味しい野菜とご飯が私を待っている。
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