福島の友人に会いに行く(後半)→'19.07.13~14

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 駅前に車が到着したのは、何と発車5分前であった。 「うぉーっ、ギリギリ!」  そう言って2人して笑えるのだから、我ながらいい友人関係だと思う。 「遊びに来てくれてありがとう!」 「こっちこそ、ありがとう! お世話になりました!」  のんびり別れのあいさつをしている場合ではない。  バタバタとキャリーバッグを引っ張り出す。 「また来ていい?」 「来て来て!」 「きのこ、11月くらいかな?」 「その辺も、わかったら連絡するよ!」  これから窓口に行って、乗車券を買わなければならない。 「じゃあね!」 「気をつけて帰って!」  ドアを閉めると、私はキャリーバッグを引いて駅に向かった。  ……重っ!!  おそらく汲んだ水のせいだ。大小ペットボトル合わせて、4L。そりゃ、重いわ。  こういうとき、地方の小さな駅はありがたいと思う。  道から入り口が近いからだ。  これが新宿だったら、西口ロータリーまで車をつけたとしたって、人でごった返す広場を突っ切って、改札に向かわなければいけない。  さらに行き先が埼京線だとしたら、完全にアウトである。  入り口に入ってすぐ横に、窓口があった。  浅草までの乗車券を買う。 「ふう」  時刻は発車2分ほど前。  何とか、予約した席に座ることができた。  ひと息ついたら、のどが渇いてきた。 「あ、お茶買うの忘れた」  しかし、今から出て行って買いに行く時間はなさそうだ。 「トホホ」  少しがっかりして――。 「いや、あるじゃん」  荷台に上げたキャリーバッグを下ろして(これがまあ重い)、中から500mlペットボトルを出した。 「ふふふ、特上の水が」  数時間前に汲んだ水が、まだ冷たい。おいしい。  グッジョブ、私。  電車が発車した。  一応、Tにちゃんと電車に乗れたことを、伝えておく。  まだ、車内は閑散としている。  おそらく、日光でまたどっと増えるのだろう。  それまでの間に、1つだけおにぎりを食べた。  いや、おいしいぞ。やはりと言うべきか何と言うべきか。  のどかな自然においしいご飯。ゆったりした時間の流れる村を離れて、またあの雑多な都会に戻るのかと思うと、少し気が滅入る。  まあ、いい。また来よう。  彼女がおいでと言ってくれるうちは、楽しみの1つにして、何度でも遊びに行けばいい。  次の目標は、きのこをはじめとした秋の味覚だ。  私とTの予定が合えば、今年にでももう1度行こうと思っている。  美味しい野菜とご飯が私を待っている。 ’19.07.13~14→福島の友人に会いに行く Fin.  ~*~*~ ↓おまけ:今回のお土産@熊野自宅、IHの上にて  (味噌と梅の漬物を入れているストックバッグが地味にIKEAという……) edd25568-460f-4bd1-ae39-464d00817634
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