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八坂庚申堂にて
この暑い中、涼し気に着物を着ている女の子の人ごみだ。どう見ても、二十代前半、私が着るには少し派手だし、そんなのにお金を使う位なら、何か美味しいものを買って帰る。やっぱ、そんなことを考えてしまうから、お局様に昇格するのかな。
一体、どこへ行くのだろう。町婚でもあるのかと、私は後に続く。
そして、私が見たものは、カラフルな布地がめっちゃ多くくくりつけられているお寺であった。髪の毛をキレイにまとめた浴衣姿の女の子も多い。
八坂庚申堂。早速、スマホで検索する。あった。見つけた。そうか、ここだったのか。ずっと前、私がまだ二十代前半の頃、関西系のテレビ番組で紹介されていて、私の心の片隅にひっかかっていた場所であった。
手足をくくられた猿を表したカラフルな布地のくくり猿に、願い事を書いて、吊るすと願いが叶うとされている。
そして、これが、重要なのだけど、欲を捨てなければ願いが叶わない。欲を一つ我慢しなければ、願いが叶わない。庚申様も、やることが憎い。
私はくくり猿を一つ買おうとしたが、色で迷ってしまった。どれも、可愛い。悩んだ挙句、私の名前にちなんだ赤い色のを選んだ。
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