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捨てる欲は
三人のことを考えていたら、三匹の猿と眼があったような気がした。
見ざる、言わざる、聞かざるだ。
私は、失礼なんだけど、三人と照らし合わせて、つい笑ってしまった。
三人ともこんな料理も苦手で家事もろくにできない私と結婚したいと言ってくれる良い人だ。
結婚生活をうまく続けるコツは、よけいなことは見ない。言わない。聞かないことだそうだ。教えてもらった時は、なんか偽善者っぽくて、納得できなかったけど、この年齢になるとわかるような気がする。
もっとも、まだ、結婚していない私は、選ぶに当たって、相手のことをよく見る。よく話す。よく聞くことが大切なんだろうな。
「結婚祈願。」
私は、大きくしっかりとくくり猿に書いて、しっかりとくくりつけた。
そして、私が捨てる欲は、支配欲だったのである。
よく付き合っている彼に言われたものだ。
束縛ならまだ俺のことを大切に思ってくれているのか、心配してくれているのかと、我慢できるが、俺はおまえの奴隷ではない。女王様気取りは、うんざりだ、我慢できないと。
若い頃は、女王様気取りで、何が悪いの。嫌なら、別れましょう。男なんて、星の数ほどあるんだからと、開き直っていたもんね。
これからは、大人しく、人生のパートナーを探すことを、庚申様にお祈りする私だったのである。
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