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別部は、そのまま姿を眩ました。
雪山は、一人呟く。
「マジで、黙ったまま行きやがった……」
辺りを見るが、やはり居ない。
雪山は、タメ息をついた。
「疲れたなぁ~」
壁に寄りかかる。
「柄にもないことするんじゃないな。」
薄ら笑いを浮かべる。
「俺がおちゃらけたって、キモいんだよ、ハァッ」
一瞬、口角を吊り上げ、ズボンのポケットに両手をゆっくり突っ込んで、歩きだした。
うつ向いていた雪山は、目の前の誰かの足下が見えた。
顔を上げて、その人物の顔を見る。
別部だった。
「うわぁあ~~~~!!!!!」
別部は、顔をしかめた。
「大きな声を出すな。」
別部は、ハンカチで、手を拭いていた。
「トイレ行ってたのか?」
若干裏返った声で、雪山は尋ねた。
相変わらず醒めた目をして、別部は言った。
「それより、強制参加は、申告制で休めるようにしろ。」
別部は、雪山とすれ違って、去ろうとする。
雪山は、呼び止める。
「待てよ!お前入るのか?!」
別部は立ち止まり、振り返った。
「勝手に入れたんだろ?」
「流石に本当にはしないよ……」
「……」
別部は、何も言わなかった。
雪山は、どうしても気になることを躊躇いながらも尋ねた。
「……さっきの……聞いてた?」
別部は、全く変化を現さないままの顔を進行方向に戻して、歩き出す。
全く喋らなかった。
「……だから、喋れー!」
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