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ぐぷ、ぐちゅ。
聞きたくもないような生々しい水音が聞こえる。
「っ…ひ…、ん゛ッ…」
「はぁっ…」
血が滲むほど唇を噛み締める俺に、後ろから荒い吐息混じりの声が聞こえた。
「ふ…っ、はぁ…銀竜、お前の声を聞かせておくれ」
「っ…」
緩く首を振ると、冷たい手で腰を捕まれ一気に男のもので奥まで貫かれる。
人間のものと形状の違う歪なそれは、俺の中の色んな部分を責め立てた。
「っ!ぅあぁ゛っ!」
「ん…っ…出してご覧、ほら、私の手で受け止めてあげよう」
「あ゛、ひッ、ぁああっ!や、やぁ゛、イッ…ーっ!」
奥を擦り、体を揺さぶられながら、反り勃ったものをごしゅごしゅと擦られ呆気なく絶頂を迎えた。
「あ゛ッ、ぁ、あ」
「はぁ…銀竜…よしよし、出してやろうな」
「!」
勢いよく、絶え間なく俺の中に注ぎ込まれる体液。
決して広いとはいえない俺の中を、この男の分泌物が雌を求め犯す瞬間は苦痛でしかない。
「お前はあまり量を出さないな、人間の雄は皆こんなものなのか…」
「あ゛、ぁーーッ…!」
「だが味は好みだ…」
後ろで喉を鳴らして俺のものを飲み込む音がする。
行き着く先が女の股の卵ではなく化物の胃の中なんて俺の子種達は報われない。
俺はただ寝台の絹布団を握り締めて、屈辱と嫌悪感と震えるような快感に耐えることしかできない。
ようやく抜き出されたそれと共に、俺の穴から化物の体液がぼたぼた滴り落ちる。
「ひ、ひ、ぃ…っ」
こんなことで意識を飛ばしかけてしまう程、俺の体はこの男に壊されてしまった。
蟲妖。
「銀竜、私を呼んでおくれ…」
「ぉ…御父、様…」
「うん」
御父様。
そう呼んでやれば蟲妖は心の底から嬉しそうな声を出した。
人間の俺を自分の子供の理想像として可愛がる化物。
息子と呼んでおきながら俺に触れて、撫でて、体を貪る。
「可愛い私の銀竜…」
蟲妖は俺に銀竜という名前をつけ、俺を自分の手元に置いている。
蟲妖のものになって既にどれ程経ったのかも曖昧だ。
何も知らなかった俺の体はもうこいつを慰めるだけのものと変わり果てていた。
俺の喉も、後ろの穴も、男を迎え入れて喜ぶことの出来る処理用の穴にされた。今までの行為を思い返すと吐きそうになった。
「口をお開け」
「…っ」
蟲妖が顔に巻いた包帯をずらし口元を覗かせる。
百足の顎のようなものが見え、その間だからぬるりと出てくる触手のような長い舌。
俺はおぞましさに身体を震わせながらも口を開いた。
「んん、ん゛」
口いっぱいに入り込んでくる舌にぬるぬると口内を舐め回される。
「ん゛ッ!ぅ゛、うぇ゛っ」
舌が喉まで入ってくる。
苦しさにえづきながらも確かに俺の芯は熱を帯びていた。
散々舐め尽くされてぬろろっと舌を引き抜かれた時には俺はまた達していた。
「は、へ…っ」
「気持ちいいか…」
「…!!」
体の力が抜けた途端、俺は自分の体の違和感に気づく。
正常に生きている生物なら誰も彼もが毎日経験しているであろう感覚。
最悪だ。このタイミングで。
「…どうしたのだ」
顔色を変えたのはほんの一瞬だったのに、目敏く勘づいた蟲妖が俺をまじまじと見つめる。
嫌だ、気づくな。
そんな願いも虚しく、蟲妖はああ…と何かに気づいたように頷いた。
「催したのか」
「!」
ゾッと爪先から頭のてっぺんまで悪寒が突き抜ける。
「困った子だ…すぐ言うようにといつも言っているだろう…」
「ち、ちが、っ…!」
「無理もない、あれだけ私が出したから」
そう言って蟲妖は起き上がり、寝台のすぐ隣にある木桶をこちらに近づけた。
俺の、排泄用の木桶。
何度見せられたって受け入れられるものじゃない。
「ぃ、嫌…ぁあ゛…」
逃げだしたい。
でも今ここで逃げればきっと両足ぐらい容易く無くなるだろう。
「ほら…おいで…」
「ひ、」
青ざめて震える俺を後ろから抱き抱えるようにして持ち上げる。
やめて、やめてくれ。
「お、御父様っ…!俺は、自分で…っ」
「私達は親子の契を結んだのだ、父親に何も恥ずかしがることはなかろう…お前の全てを世話したい」
俺は半狂乱になりながら懸命に首を振った。
「や、嫌だ、や、やめ、やめてください御父様…!お願いします、本当にこれだけは、俺…!」
「我慢をしては体に悪い」
「やめっ…、!!」
グッと強く腹を押され、俺の腹の中のものを堰き止めていた栓がぶち壊れた。
嫌な音が聞こえ、その音が辺りに響き渡る、すぐに鼻についた悪臭。
羞恥と絶望。人としての尊厳を根刮ぎ引き裂かれる。
俺は声にならない叫び声を上げて泣いた。
「――――――ッ!!!!」
「ああ…銀竜…」
そんな俺を、興奮が混じった愛しそうな目で。
ああ、地獄だ。
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