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苦い思い出を残したが、その後はことりさんからも好印象を受けたのか、四、五回は約束を取り付けるに至り、六回目は……とあれこれ僕なりのアプリに頼らないデートコースを考えていたある日の事だった。
「あれッ?! 彼女がいないッ!!?」
「なんだよ、突然デケー声出して……びっくりするだろ」
僕は突然の事に、公共の場と言うことも弁えず思わず声にしてしまった。
「あのさ、前に話した『ことりさん』っていただろ?」
「あー……一つ下だけど社会人の子だろ?」
「そう、その子」「どうしたんだよ?」
「比喩ーマッチから消えてんだよ!」
「退会したんじゃねーのか?」
ミノルは気安く、退会した、とか言っているが僕にとっては一番好意を寄せていただけにショックが大きかった。
「あのさ、俺達と違って向こうは社会人だよ? 職場とか昔の友人ヅテとか出会いもそれなりにあるんだろ」
開き直ったように見えるミノルも、過去に僕と同じ理由で退会した事のある、それなりに好意を寄せていた彼女がいたらしい。
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