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しばらくその一件が尾を引き、一時は比喩ーマッチ退会を考えた。それでも、ミノルは「初恋は実らない、って言うだろ? 誰しもが一度は通る道だよ」とささやかに励ましてくれたが、僕に空いた穴は大きかった。
気を紛らわすつもりでは無かったが、その少し後にアカネさんからメンションがあったので応じる。
「あー、私もそう言うのあったわー。こっちは本気で好きだったのに『遊び』とか言われた時に一気に冷めたよ」
一緒にするなっ! と思ったが、覆水盆に返らず、と言うように取り戻す事は不可能に等しい。律儀に連絡手段まで断たれてからでは。
「あのさー、私じゃ今岡さんには及ばないかもしれないけど出来る事はするからさ。ねっ?」
アカネさんが言うには、この時にチャンスだと思ったらしく僕を強引に引き寄せようとしていた。アカネさんが自分でも知らなかった性格に「蟻地獄女子」と言う、獲物を見付けたら離さない一面もあった。
「ハヤシライスじゃねーと僕、ダメなんだよなー」と皮肉るように言ってやる。
「なによ? ハヤシライスって??」
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