どんなときも。

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『そうですか。マコトさんは愛されていますか。なら安心しました。それならば想い残す事はありません』と言われて、今岡さんは帰ったそうよ……」 「……」  ことりさんの心中は察するに余りある。彼女もまた僕が初恋だったのだろうが、それもまた避けて通れない道だったのかもしれない。  「聲の色」では声に障害のある女の子だったが、健常者なことりさんでも伝える事の難しさに直面したとは思ってもいなかった。  もしかしたら、「職場の人」ではなく、自発的に観ておかねばならない天啓のようなモノがあったのだろう。そして彼女が劇場で流した、涙……。 「……ハヤシライスってメインだよな」 「それがどうかしたの?」 「ロールキャベツもメインなんだよな……メインが二つもあったら喧嘩しちゃうモンな。僕は今岡さんと別れて正解だった……って思わないか? アカネ」 「えっ、ちょっ、何? 今の言葉、どういう意味?? そして、いきなり呼び捨てとかどういうつもりなのっ?! イミフなんですけどーっ!!?」
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