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だんだん酔いがまわってきて、思考が散漫になっていく。
「で、速水が故郷を離れたのは確か初恋の人が原因とか言ってなかったかな?」
「……そうです」
「ということはその人に会ったのか?」
「……会いました。でも、自分は、彼女の家族にされたことを恨んでいて、彼女にひどいことをして……でも、最後には彼女の幸せを祈って、別れました」
「そうだったのか。それで、速水は今彼女のことをどう思っているんだ?」
「彼女のこと……再会して彼女を抱いたんですが、憎いという気持ちよりも、愛しいという気持ちが強かったです……高校生の頃の彼女と大人になって再会したら当時の純粋さや健気さが失われていると思っていたんですが、昔のままでした……」
「そんな風に思えるなら、もう一回やり直してみるのはどうかな」
かなりお酒が入った速水はだんだん呂律が怪しくなる。
「……そんなこと、無理です。相手は……柳沢エステートのお嬢さんなんです。」
「え?取引先の?」
「はい……そう……です」
そのまま速水は酔い潰れて寝てしまった。
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