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その日、遙を駅に送る道すがら、二人で遙の父親に挨拶にいく段取りを話し合った。おそらく反対されるに違いない。会社のことを考えると二人の結婚は前途多難である。でも、お腹の赤ちゃんのことを考えて、早急に父親に会うことにした。
先月、病院を退院して仕事に復帰した遙の父は、以前の仕事のやり方をあらためて、余暇の時間もきっちりとるようになった。
「お父さん、私、お父さんに紹介したい人がいるの」
急な話に父親は驚く。
「遙、付き合っている人がいるのか?」
「はい」
「どんな人なんだ?」
「やさしくて、とても頼りがいのある人。ご両親を幼い頃亡くしていて、苦労しながら学校を卒業して、今は仕事でも実績を出しているわ。急だけど、明日お父さんに挨拶にきたいって」
「そうか。まずは会ってみないとな」
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