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「秀一さん、ごめんなさい……」
「大丈夫だよ。反対されるのは想定のことだったから。結婚を許してくれるまで、何度でも足を運ぶよ。遙はお父さんにとって大事な娘なんだから、仕方ないよ」
そう言って秀一は遙の涙をぬぐった。
「また、来週も足を運ぶから」
そう言って、柳沢家を後にした。
書斎に籠もっている父に話をするために、遙は部屋をノックして入る。
「お父さん、少し話をさせて」
英雄は返事をしない。
「そのままでいいから話を聞いて。私が彼と出会ったのは高校生の頃、けがをして困っているところを助けてくれたの……少しずつ話をして、だんだん好きになっていった。でも偶然、私たちのことを聞いた兄さんが、秀一さんにひどい暴力を振るってしまって、離ればなれになってしまった」
その話をきいて、英雄は遙に向き直る。
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