45人が本棚に入れています
本棚に追加
「まあ、狐の姿でも人の姿でも、ずっと俺があいつの面倒を見てたからな。風呂も寝るのも一緒だったから、凛も俺の体は見慣れて今更なところもあるのかもしれん」
「普段と閨では、違うだろう。驚いたんじゃないのか」
「それが3年の間に何回も続けば、さすがの俺も萎える」
「…それは萎えるな」
だろう、と九尾は深いため息をついた。
「あいつは魅力的だし、俺は凛を抱きたいと思った。しかし、凛が俺のことを男として見ないなら、無理強いはできん」
ううむ、なかなか難しいな、と大天狗は言い、九尾も頷く。
「拒まないなら、構わないんじゃないか?深く考えなくても、凛は十分お前を慕っているのだし」
「だったら尚更抱けないだろう」
はあ、と大天狗はため息をついた。
「九尾がこんなに真面目だと思わなんだ。うちのは、お前が凛をその気にさせるために寝所で見せつけてるんじゃないかと言っていたが」
そこなんだよ、と九尾も頭をかきむしる。
「見せつけてるわけじゃあないが、結果的に、凛と無理に同衾する必要もなくなってしまったというか。そして俺も、それは他の女で満足できてるから」
「それで5人もはべらすなら、好いた女1人にしろ」
「ことごとくうるさいな」
「真っ当だろ。九尾に常識が通じるのかはわからんが」
さて、とそこで大天狗は話を切り、立ち上がった。
「ともかく、凛の居場所がわかったから、俺は俺で動くぞ。化け猫と一緒なら尚更放っておけん」
最初のコメントを投稿しよう!