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一.目をそらす
若き熱量あふれる中学男子だと言うのに部活など入っていない僕は、本当はこんな時間に家を出る必要は無い。
が、僕は毎日、雨の日も風の日も、始業の一時間前には着くように起きて学校へ向かう。
そうすれば同じ電車に、朝練に向かう弓道部のあの子がいるから。
ここ最近で最大の自分内ヒットアニメ「マキャヴェリなへびいちご」略して「マキャヘビ」の主人公・西園寺ヒエラの親友である名脇役・柊カスミ似の彼女は、一年の時に同じクラスで、二年になっても奇跡的に同じクラスにいて、一年の一学期の後半ぐらいから続けているこの日課は、となるとかれこれすでに一年以上が経つ。
同じ車両の最前の扉に彼女、その横顔を僕はまだそれほど混んでいない車両のいちばん後ろから、まばらに立つ人影の隙間を縫うようにして、さらに参考書を読んでいる振りをしながら、ちらちらと盗み見る。
が、時折彼女がこちらに振り返り僕に気付いたような気がして、慌てて目をそらす。
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