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「な……なんなんだよ……お前……」
少年の姿をしたその奇怪な何らかに恐怖を感じ、それだけなんとか絞り出しながら様子を伺うが、目深に被った野球帽のせいでその目も表情も見取ることができない。
「『なんなんだよお前』はこっちの台詞だぜ、まったく。朝からずっと、なんなんだ?お前は。あの女のことチラチラ盗み見ては目をそらしやがって、気持ち悪ぃ。俺はそういうコソコソしたやつが大っ嫌いなんだよ」
朝からずっと……?
僕のこと……彼女を見てたこと……全部知ってる……?
マジで何だこいつ……超ヤベぇよ、どうしよう……!?
後ずさり部屋の扉に背を付けノブを回すが、がちゃがちゃと騒ぐばかりで一向に開かない。
「ちょ……なんだよ……!?どうなってんだよ……!?」
ドアに向き直り必死にドアノブを回そうとするが、
「あのさぁ、ほんと、あの女のこと、見たいの?見たくないの?まっすぐモノ見られねぇやつって、超鬱陶しくてイライラすんだよな!」
僕の焦りなど全く意に介さない様子で少年が続ける。
「もうさぁ、そんなコソコソ控えめなストーカーみたいなことばっかりやってんなら、いっそあの女のことなんか見えなくなっちまえばいいんじゃないの?」
その言葉に、思わずドアノブに叩き付ける手を止めた。
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