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思い切り彼にしがみついたまま全身を痙攣させ、難なく果てた。張りつめた筋肉が緩み、骨を抜かれたように体中の力が抜けた私は、ぜいぜいと肩で息をしながら枕に埋もれる。
もう何もできない。体も動かない。頭が眩んで意識も飛びそうだ……。なのに幕は下されず、いつの間にか引き抜かれていた指が再び体内に入り込んでビクッと背を反らす。
「……だめ、もう……!」
懇願は聞き入れられず、手を跳ねのけようとしてもびくともせず、極地に誘い出す律動が始まる。逃れようと身を捩るが、たいして意味をなさない。
「なんで? 全部忘れたいんだろ?」
サディスティックに言い放つ彼に涙目でかぶりを振るも、余韻に火をつけられた体は裏腹にも甘く溶け出していく。
「素直に善がってろ」
右脚が彼の肩に乗せられさらに奥深くまで差し込まれた。ぐちゅぐちゅとより水分を多く伴った音をたてて、撒き散らすように二度目を迎える。脳内はまた一段と霧深くなり、視界は回り、わけが分からない。息が整わないのに唇を塞がれ、互いの唾液を攪拌する激しいキスが降ってくる。
息継ぎをしたくて顔を背けるが追いかけられ、また背けては追いかけられを繰り返し、ふたつの唇が離れることはない。どうしても息苦しくなって口内で悲鳴をあげ彼の胸を叩くと、ようやく執着から解放された。
キスで殺されてしまうかと思った。
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