Number 7

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浅い呼吸を繰り返し肺に空気を送り込んでいると、彼は上着を脱いでベッドサイドに放り投げる。荒々しくネクタイに手をかけそれもまた放り投げる。くたっとしている膝裏に手が差し込まれ、彼の方に引きずり下ろされる。両膝が掴まれ脚が横に大きく開き、いまさら羞恥心が咲くと同時にまだまだ夜は終わらないのだと悟る。 体を伏せ脚間に頭を埋めた彼は、柔らかく解されたそこに再び指を滑り込ませると、泡立った潤みを確かめるようにゆったり行っては戻るを繰り返す。吐息が肌に触れ、柔らかでねっとりとした舌が芯に及んだ瞬間、私は爆発しそうになる。急所を同時にいたぶられ、弄ばれ、叫ばずにはいられない。 嫌と言ったところで、止めてと言ったところで、動き出した歯車は止まらない。どこにも逃げる場所はなく、導かれるまま絶頂を掴むしかなかった。 体が思うまま善がって、叫んで、欲しがった。 体ごと飲み込むうねりを甘受した。 ベッドで、気が狂いそうになったのは初めてだ。 彼はてらてら濡れた唇を拳で拭いながら、残りの服を脱ぎ捨てる。 細身だと思っていたがそうでもない。女1人を悠々とコントロールする力を持っている肉体。そして、闇の中でもはっきり分かる。それは交わりたいと主張している。 裸で対峙した私と彼。行為はついに最後の局面を迎えるのだと薄靄がかかる頭で自覚する。しかし、体に覆い被さった彼はただぎゅっと腕に抱くだけだった。 「(むすぶ)」 耳元で名前を呼ぶ声に言葉を失う。 骨が軋みそうな腕力に息ができなくなる。 「俺は――」 その時、ピリリリと音が鳴って夢はぶっつり途切れた。
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