プロローグA: 幼なじみの片想いが3周年らしくて困ってます

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プロローグA: 幼なじみの片想いが3周年らしくて困ってます

 ようやく初夏の香りが満ちてきた、6月初め、私鉄線路沿いの通り。  駅までにはもう少し距離があるので、まだ人通りはそれほど多くない。  車の通りもほとんど無い。  そのお陰で、大きな通りを歩くよりもかなり歩きやすい。  だけど。  とても残念なことに、静かではない。  それどころか、『喧しい』まである。  人通りも車通りも少ないのに、なのだ。  本当に残念としか言いようがない。  隣を歩くルミといっしょに、愉しさと呆れがごちゃまぜになってしまったようなため息をついた。  まったく同じタイミングになって、思わず顔を見合わせてしまう。  彼女は、とても微妙で曖昧な顔をしている。  苦笑いと表現するには砂糖が多めのような気がするし、笑っているかと言われれば少なくとも完全無欠の笑顔ではなかった。  それはきっと、僕も同じなのだろう。  僕の顔を見たルミは、その微妙で曖昧な顔にうっすらと、今度は本当に苦笑いを貼り付けた。  原因など、わかりきっている。  それは、僕たちのやや後方から響いている――――、
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