プロローグA: 幼なじみの片想いが3周年らしくて困ってます

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「朝からしつこいなー、お前は!」 「はぁ~!? それはこっちの台詞だっつーのよ!」 「何でだよ! そもそもの発端作ってんのはいつもエリカだろうが!」 「今日は違うでしょ、今日は!」 「ああ、そうか。なるほどな。久々にマウント取れるからって調子ノってんのか、お前」 「残念でしたぁ。そういう発想がすぐに出てくるようなシュウスケとは違いますぅー!!」  ――――この、犬も食わないような痴話喧嘩。  あ。ちょっと待って。  今、反対側の歩道を散歩してた柴犬2匹がちょっと後ずさったみたいに見えた。  冗談みたいな言い方だと思っていたが、どうやら本当に犬は痴話喧嘩を食べてはくれないみたいだ。  かわいそうなことをした。  心の中ではあの子たちに少しだけ豪華なジャーキーをプレゼントしておこう。  本当に――――、もう、『夫婦喧嘩』って言っても問題は無いと思う。  口に出したら絶対に、とくに女の子の方がキレると思うけれど。  いじっぱりだから。  もちろん、ふたりとも。 「……3日ぶりくらいかな?」 「そうだねえ」  毎日やっているような錯覚に陥ったりもするが、ここ数日はそれなりにおとなしかったのだ。  たぶん、月曜日以来の小競り合い。
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