プロローグA: 幼なじみの片想いが3周年らしくて困ってます

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 さすがに電車の中では空気を読んでいる。  いつも通りのことだ。  たとえ乗り込む直前まで痴話喧嘩を繰り広げていたとしても、ふたりともしっかりと、おとなしくなってくれる。  誰しも、無意味に針の山を投げつけられたくはないのだ。  僕らは始発駅から乗ってくるので、座って乗れるのがいつものこと。  とはいえ、シュウスケとエリカちゃんの痴話喧嘩終わりには、僕とルミを壁の変わりにするようにして並ぶような配置になる。  しかも双方とも機嫌が悪い状態だと、こちら側に背中を少しだけ向けるようにして、しかもなぜかふたりともが若干こちらに寄りかかるようにして座る。  そうなると、自動的に僕とルミの座るスペースが狭くなる。  今だって、その結果、僕らの肩から脇腹あたりが完全に密着している状態だ。  下手に他の人が座るスペースに足を広げるとか、そういうことをされる方が迷惑なので、別に問題は無いのだが。  いや、やっぱり少し困る。  いろいろと困るのだ。
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