私の好きな人

2/5
前へ
/108ページ
次へ
 高校2年生の夏休み初日。  来年になれば夏休みなんてただの勉強漬けの毎日になってしまう。  今年の夏休みは目一杯楽しんでおかなくては。  なんてことをカフェでぐうたら話している。  こんななんでもない話をしている時間が好きだ。  でもせっかくならこの時間を使って青春の思い出の1つくらい作りたいとも思う。  私は目の前にあるアイスティーに手を伸ばした。  私の向かいに座っている綾瀬(あやせ)桃子(ももこ)も同じタイミングでグラスに手を伸ばす。  桃子とは小学校の頃からの友達で、高校は別のところに通っているが、こうやってたまに会っている。  じっとりと汗ばんだグラスから、カランと氷の音がした。  窓の外を見ると、もう日が傾き始めている。  そろそろ帰る時間かな。
/108ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加