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天空のレストラン
山に囲まれたとある町。そこに霧峰山と呼ばれる山があった。
市街地を見下ろすようにそびえ立つ山の中腹には、天霊寺というお寺があり、その奥には天上霊園という墓地が拡がっていた。
緩やかな傾斜に建てられた墓地からは、市街地が一望できる。空と街並みのコントラストは壮観であり、故人を偲ぶ人々でさえも、晴れやかな気持ちにしてくれる。
さらに霧峰山の頂上には斎場もある。そんな経緯からか、いつしか霧峰山は、天国に一番近い山、と呼ばれるようになった。
天霊寺は無宗派であり、様々な人々を受け容れる。墓地に眠る人。訪れる人。そこには、それだけの人生模様があった。
天霊寺のあるアスファルト舗装された車道。その向かいには、小さく佇むレストランが建てられている。崖っぷちに建つレストラン。それは経営的な意味も、物理的な意味も含んでいた。併設されている駐車場に、自動車が停まっていることは稀である。
「天空のレストラン」
可愛らしい文字で書かれた看板と、青と白の建物は、今日も訪れる人を待ち続けるのだ。
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