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翌日。 外人の屋敷で、朝食を食べた。 ベーコンエッグとオリーブオイルがかかったサラダ、トーストに果汁100%のオレンジジュース。 外人は、"無事で良かった、譲治" とこちらに言いながら、トーストにピーナッツバターを塗ってくれ、オレンジジュースを飲み干すと、すぐに嬉しそうにグラスに継ぎ足ししてくれた。 サラダも美味しかった。 その後、外人はスマホを一つくれて、好きなゲームをやっていいよと告げた。 しばらくゲームに没頭していたが、急に玄関に人が来た。 外人はすぐに出迎えに行った。 何やら長々と話し合っているので、チラリと玄関の方を見ると、3人のスーツ姿の男が居て、そのうちの一人が外人に向かって、 「8時23分、未成年者誘拐または拉致監禁の容疑で確保」 と告げた。 外人はチラリとこちらを見たが、すぐに二人の男に外に連れて行かれた。 残った一人の男が、家の中に入り、こちらまでやって来て、 「警察です。もう大丈夫だからね」 と言った後、携帯電話を出して、 「無事保護しました」 と告げた。 そのまま、その警察官に連れられて外に出て、パトカーに乗せられた。 パトカーで警察署まで行くと、署内に入るやいなや、見た顔の大人が居て、こちらを抱きしめた。 「もう大丈夫だからね」 それは養護施設の先生だった。 ここしばらく顔を合わせることがなかったが、先生は泣きながらこちらを抱きしめた。 先生の話によると、 養護施設の中から、一部の子供だけが誘拐されたそうだ。 え! ちょっと待って。 誘拐は確かにされたけど、それは仮面の男にされたのであって、あの外人にではないのでは? 何故、外人が逮捕される? こちらは仮面の男に誘拐されたところを"あの子"に助けられ、外人の男には、寧ろ随分と手厚く保護されただけなのだが…。 しかし先生は、こちらが誠くんや未来ちゃんと共に誘拐されたのだと言った。 誘拐された後、しばらく別の、元養護施設跡地に連れて行かれて、そこで生活していたようだが、誘拐者は金を取って、子供を売り渡していたらしい。 こちらは外人顔のハーフの日本人男性の養子にされたのだと、先生に言われた。 普通に養護施設に里親になりに行くことが出来ない者に向けて、誘拐された後、養子にされたらしいが、しかし外人顔のあのハーフの男性は、なんでも半年前に事故で子供を失っており、その喪失感に苛まれている時に養子の話を誘拐者に持ちかけられたらしい。 亡くした子供の名前は"譲治"。 ああ、だから、こちらを譲治と呼んでいたのか…。 すでに、こちらの前日や前々日に、養子にされていた誠くんも未来ちゃんも保護されており、誘拐犯グループもほぼ捕まったらしい。 でも、それならあの子はどうなったのだ? 仮面の男に監禁されていたところを救ってくれた"あの子"。 確かあの子は、ハーフの男性の屋敷のそばでも見かけた。 あの子はどうなったのか、先生に聞いた。 あの子は命の恩人だ。 あの子はどこに消えてしまったのか? あの子は助かったのか? しかし先生は、"あの子など何処にもいない"と言った。 そんなことはない。 あの子と、誠くんと未来ちゃんとで一緒に遊んだ。 あの子は仮面の男から助けてくれたのだ。 あの子がいない訳がない。 だが、先生は"あの子などいない、そんな子は知らない"と言うばかりだった。
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