隠れ家のBAR

4/4
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
「楽しかったです。ありがとうございます」 歌い終えると、恩田はみそらに礼を言った。 「いいえ。こちらこそ、恩田さんに歌ってもらえて良かったです」 みそらはにっこりした。 「ありがとう。西洋に留学していた若い頃を思い出したよ。あの頃に行ったバーにここはとても似ている。また来ていいかな」 「ぜひまた来て下さい」 ありがとうと恩田は店をあとにした。 店を出ると満月が輝いていた。 「ミッシェル、君も元気にしているのかな」 恩田は熱くなった目頭を押さえた。 そして、笑顔になった。 楽しかったのと、自分の居場所を見つけれた喜びとで恩田の心は暖かだった。 足取りは軽く、杖を忘れたことも忘れていた。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!