2人が本棚に入れています
本棚に追加
「楽しかったです。ありがとうございます」
歌い終えると、恩田はみそらに礼を言った。
「いいえ。こちらこそ、恩田さんに歌ってもらえて良かったです」
みそらはにっこりした。
「ありがとう。西洋に留学していた若い頃を思い出したよ。あの頃に行ったバーにここはとても似ている。また来ていいかな」
「ぜひまた来て下さい」
ありがとうと恩田は店をあとにした。
店を出ると満月が輝いていた。
「ミッシェル、君も元気にしているのかな」
恩田は熱くなった目頭を押さえた。
そして、笑顔になった。
楽しかったのと、自分の居場所を見つけれた喜びとで恩田の心は暖かだった。
足取りは軽く、杖を忘れたことも忘れていた。
最初のコメントを投稿しよう!