苦難

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「僕の手…気になるの?」怪しげに笑う史人さんにドキっとしてしまった。 「いや…綺麗だなって思って…―――」一気に真っ赤になる。 「いつも触らしてくれてるから触ってもいいんだよ」 いつも触らしてくれてるって…なんかめちゃ恥ずかしくなって 「な…なんかDVDでも見ましょうよ」目をそらして言う。 ピザも届きDVDを見ながら無言が続く。 横目でどうしてもビールを持つ手に目がいってしまっていたら 「ねぇ…DVD見ないの?」と横目で微笑んでくる史人さん。 「み…見てますよ」という俺の顔に手を添えてきた。 思わずビクっと体が跳ねる。 「な…な…何して…―――」 言っている俺の唇に史人さんの親指が添る。 目をギュッときつくつぶると「可愛いね」と手を離す。 俺今何されると思ったんだと顔が真っ赤になり、ソファの上で体操座りして顔を伏せる。 俺…起っちゃった…――― 俺梨花ちゃんの事が好きなんじゃなかったのかよ… いや…史人さんの手が気持ちよすぎて起っちゃっただけであって… 気の迷いだ…
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