苦難

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「虎太郎君どうしたの?」と覗き込む史人さんの顔を腕の隙間からチラ見して 「なんでもないよ」と言い訳をする。 「そぉ?」と優しく笑う史人さん。 「虎太郎君も少し飲む?」とビールを差し出されコクっ頷き初めてビールを飲んだが「うえぇ…苦い」とすぐに返してしまった。 「そう言えば好きなことは何か進展あった?」と気にかけてくれた。 「なんもねぇよ…でも文化祭の日に告白しようと思ってるんだよね」 「進展ないのに告白なんて大丈夫?応援はするけど…」 「んー玉砕覚悟で告白しようと思ってて…文化祭終わってから誰もいない教室で告白してキスしてもらえたら結婚できるってジンクスあって…」 「ふーん…」優しく微笑みながら見つめてくる史人さん。 「虎太郎君ってキス…したことあるの?」 「ない…けど」 「じゃぁ練習でしてみる?」さっきの熱がまた込み上げてくる… 「いやっ…あの」しどろもどろしていると史人さんがまた俺の頬に手を添えてくる。 ヒヤっとして気持ちいい… どんどん史人さんの顔が近づいてきて二人とも伏し目がちになり… …―――――
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