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テストまでもう、2ヶ月もない。でも紗愛のお陰でかなりいい所まで行けそうだと感じていた
なのに‥
葉月「まさか学校に呼び出されるなんて‥」
ため息をついて誰にも見つからぬように外へ出ようとしていた
先生の話はすぐに終わり帰されたのだけれど
嫌な予感は当たっていた
裕也「なんだ‥いたんだなおまえ。
俺もずっと顔が見れなくてイライラしてたんだ
隠れるのは終わりか?」
葉月「貴方に会いたいなんて思ってない
当たり前でしょ。もう関係ないし」
さっさと靴をとって裕也の横を通りすぎようとするが届いた言葉に足が動かなくて止まる
裕也「バカになったって本当だったんだな
いいこと教えてやるよ
あの頭のいい優等生。紗愛だっけ
おまえのいじめの元凶、要因を作ったのは
全部あいつだよ」
葉月「嘘よ、あれだけ仲良くしてくれたんだ
あんたの言葉なんて信じないわ」
そういっても心は揺れていた
裕也「教えてもらったとか全部建前だってことだ。嘘だと思うなら問い詰めてみろよ
ざまーねぇな。」
結局私だけがその場所に取り残されてしまった
私の心にはどす黒い訳のわからぬ感情が渦巻いていた
葉月「こんなことなら、もっと早くこうしていればよかった」
私ひとりで小さく呟いた
いつもの公園に紗愛を呼び出すのは簡単だった
いつもみたいになるんだと思ってるからこそ
私の頭には裕也の言葉がずっと回り続けていた
紗愛「葉月ちゃん遅くなってごめんね
話ってなに?」
何一つ変わらない声だった
いつもと違うのは私だけ
葉月「‥‥‥‥‥‥‥‥。」
ぎゅっと家から用意した凶器のナイフを握りしめて沈黙を続ける
私から近づいて傷つける勇気なんてない
だから好機を待つことにした
紗愛「葉月ちゃん?どうしたの?
なにかあったの?」
静かに私に近づいてくれる紗愛の手が私のからだに触れそうになるまで待ってその手をぐっと勢いよく下に引いて体勢を崩す
紗愛「っ!?葉月‥なんで」
驚きで小さく声をあげて下にゆっくり倒れた
紗愛の体の上にそのまま膝をついて凶器を近づける
これが私の憎悪だった。どうしても押さえられなかった醜さ
葉月「どうして!あなたのこと信じてたのに
私の事を結局弄んでたんでしょ
嘘つき!貴方になれないなら、もうこうするしかないじゃない 私は 貴方を許せない」
紗愛「嘘じゃない、あれは嘘じゃあ
私は貴方がうらやましかったの
愛されている、見てもらえる葉月が
それがどんなに酷いものでも
貴方が自分の今を要らないと言うなら私に!!」
知らなかった。こんな思いを抱いてたなんて
ふと呆然としている間に
凶器を握りしめた手からナイフは奪われて
重さを失った手は空をもつ
目の前で赤が散った
私の震える手は真っ赤だった
あの子がいなくなった
葉月「どう‥して」
涙が幾重も頬を伝っても
その問いに答える者はもういない
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