果ての場所

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また心配させちゃう 悲しそうな顔はもう見たくないのにな 悲しげな母の顔が浮かんでは消える 葉月「あぁ‥どうしようか」 ??「葉月さん?‥大丈夫?」 小さく呟いた私の側には誰もいないのだと思っていたのに横から投げかけられた言葉 それに私の頭はフリーズしてしまって ゆっくりと横にいる声の主を見る 嫌な予感の通りだった 葉月「紗愛さん‥どうしたんですか? 私は大丈夫ですよ? じゃあ、私はこれで!」 紗愛「あの!まっ‥」 言葉を切り制止する声にも振り返らず一目散に走り続ける 息がきれようと家に着くまで走るのを止めることはなかった 鍵を開けて自分の部屋に向かう 母「あら、おかえりなさい葉月 どうだった?」 家に入ってすぐ来てくれた母の姿と声、その全てが苦しくて 葉月「ただいま‥。もう寝るね おやすみなさい」 ただそれだけしか言えず自分の部屋に向かう 母「葉月!?なにかあったの?」 驚いた母の声が私の耳に残っていた 籠ってすぐ近くにあるベットにボスリと落ちて 顔を埋める もう嘆く母の声も落胆した姿も見たくないし聞きたくない 私の目から大粒の涙が溢れた もうあの場所に戻りたくない その気持ちだけが今ある私の全てだった そのまま私が布団から出ることはなかった 見たくないものばかりなら、そんなものは要らない、ただそれだけ。 母「葉月、もう朝よ。学校‥ 学校に行かなきゃでしょ」 変わらないその声がいつも私を責め立てる お母さんはその気持ちを分かってくれますか? その問いを口にする事はできなくて胸が苦しかった 葉月「ごめんなさい、もう私‥学校には行きたくない。もう休ませて」 それだけやっとのことで口にして扉の前から動くこともできず静かに涙を見せぬように押し殺して泣いた もう限界だよ。 その声はいつだって届かない その日から私は学校へ行くことができなくなった
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