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ただ死んだように起きては食事をして
なにもせずに眠る。その繰り返し
知らない間に温かく綺麗な春から季節は夏真っ盛りに変わっていた
私がこの状態になっても母は怒ることはなかった
ただ一度も
だからこそ裕也の言うおまえは要らない
居なくてもいい‥その言葉だけがぐるぐると回っていた
そんなある晴れた日だった
母「ねぇ、葉月。いいお友達がいたのね
宿題、届けに来てくれたらしいの
それにノートのコピーまで。よかったわね」
チャイムの音がしたと思いきや、それから少しして母が私の部屋まで来て
とても嬉しそうに友達が来たのだと言った
それにぎょっとして私は言葉を失った
友達なんていなかったから
極度になにかに怯え、何かとできない事の多い私にクラスの皆はどんどん冷たくなり、次第に腫れ物を扱うかのような反応になっていった
なのに友達なんて‥
葉月「ねぇ、お母さん。その子の名前は?」
聞くのが怖かった。でも私が知らないとは言えないその人だったらと不安で仕方なかった
母「紗愛さんって言うらしいの、とっても礼儀正しくていい子だったわよ」
母のその言葉を聞いて私はどうしたらいいのか
わからなかった
母「ここに置いておくわね。勉強がんばって」
そう言って呆然とする私だけを残して行ってしまった
置かれたノートを眺めながら考え続けた
どのくらい時間がかかっただろう
ただ眺めているだけでは意味がない
戸惑いながらもページをペラリとめくる
一字一字が整っていて均等な大きさの字がきれいに並んでいる
所々ポイントとして色ペンらしきモノで強調された場所が目につく
私のぐしゃりと歪んだ字の並ぶノートとは大違いだった
やっぱり私と彼女は違う
どうやっても私はそこには辿り着けない
その気持ちはいつだって私を傷つける
朝がどんなに私にキズを残しても夜だけは私に優しかった
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