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勉強をしなさいと母に言われ続けたのを覚えている
勉強していない訳じゃないの
お願い‥努力してないのだと思わないで
私をどうかほめて
ずっと思っていた
今日も意味を見いだすこともできず学校へ向かう
皆が集うこの場所はいつだって嫌いだった
どうせ結果を出せなければ、なにも評価なんてされないんだから‥どんなに頑張ったとしても
あぁ、嫌だ。 なんでそういうときに限ってテスト
を返されないとならないのか。
どうなるかなんて分かりきっているのに
葉月「早く終わってくれないかなぁ」
小さく小さく呟いた
少し時間が立つと、テストが先生から返されていく
先生「葉月さん」
私の名前を呼ぶのが聞こえる
あぁ、見たくもないのに見なきゃならないのか
葉月「はい‥‥。」
ゆっくりと立って先生の元へ紙を受け取りにいく
先生「次はもう少し頑張りましょうね」
先生が静かに言ったのが聞こえた
私は頑張ってる!! 怠けてなんてない!
そう言おうとしてやめた
先生が求めているのは、反論なんかじゃない
求められてるのは、ただのいい子だけだ
葉月「はい、頑張ります」
小さく小さく呟いた
その後は一度も振り返らず自分の席まで早足で急いだ
「クスクス」
教室に含んだ笑い声が小さく私の耳にはいる
あぁ、目が‥耳がなかったら、こんなに惨めな思いなんてしなくていいのに
先生「紗愛さん」
先生が成績一番の彼女を呼ぶ
期待通り一位なんでしょう、そんなの分かってる
先生「今回のテストの唯一の満点は紗愛さんでした。皆さん頑張りましょうね」
先生が笑顔で言った
何も変わらない1日だった
先生「では次のテストは3ヶ月後です
皆さん勉強に励んでくださいね
ではこれで終わります」
いつだって私を置いてなにもかも進んでいく
それが日常だった
手元に届いたテストを眺めて顔に影を落とす
これじゃあ母に喜んでもらうことはできない
あれだけ応援してくれたのに
??「おい、見せてみろよ」
葉月「あっ‥‥」
声に気づいた時には、引っ張られて、もう紙は私の手から離れてしまっていた
葉月「裕也くん‥返して私のテスト」
そう言っても、こんな風にいじめてくるのは彼
くらいで、何度言ってもどうしようもないと知っていた
裕也「誰が返すかよ、しっかし あれだな
こんな点数よくとれるよなぁ
おまえ居なくてもいいんじゃね」
蔑み、嘲笑、憐れみ、隠れた涙
もう疲れるくらい見てきた
そう‥もう私は要らないのかもしれない
葉月「‥‥‥‥‥‥‥。」
裕也「つまんねぇーの」
沈黙する私を見て吐き捨てるように言う彼の声が聞こえた
「グシャッ」
私のテスト用紙は裕也の手の中で音を立てて潰れて床へと落ちる
ゆっくりと彼は私の前から消えた
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