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雨の降る時
???′s view
ポツリポツリと、気味の悪い程、灰色な空から落ちてくる水の粒が、私の顔を叩いていく。
その止めどなく降りそそぐ水滴を知覚した時、ようやく私は、今日、雨が降っていたことに気が付いた。
いつの間にか制服は身体にぴったりと張り付くほど、びしょびしょに濡れていた。
これだけ濡れていたら、下着が透けてしまうかもしれないと年相応の女の子のような事を考える。
「まぁ、私の事を見る人なんていないか」
そんなひとりごとに反応するかのように私の眼前に″それ″は現れた。
「あぁ、君か。残念だったね」
「…………」
「そっか。君も疲れちゃったよね」
「…………」
「……うん、うん。分かったよ。私は君の事、今になってよく分かったから」
「…………」
「……ばいばい」
私は″それ″に別れの挨拶をして、静かに目を閉じた。
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