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「しーずーかっ。」
冬休みが終わり、
学校に行くと早速、幹生が僕に引っ付いてくる。
なんでそんなに僕に引っ付くの?って聞くと、
「静のことが好きだから。」
と言って聞かない。
面倒見のいい広人が、
そんな幹生を僕から引っぺがす。
「お前、ちょっとは周りを見ろ。王子様が男に引っ付いてるなんて、ナンセンスだぞ。」
「でも、美味しいよね。噂の種としては。」
噂好きの透が、
楽しそうに僕達を見ている。
勝手に変な噂を立てられそうだ。
「幹生、モテるんだから、彼女でも作ったら?」
僕は呆れて幹生にそう提案した。
幹生は、
更に僕にくっついてくる。
「俺は、静が好きなの。何度も言ってるでしょ。こんなイケメンからのお誘い、なんで断れるのかなぁ。俺、静の神経が分かんない。」
「・・・勝手に言ってろ。」
僕は、これ以上相手にするのがバカらしくなって、そう言い放った。
「ほら、俺ら、学園祭のベストカップル賞だから!!周りもそういう風にみてくれてるんだぞ?」
「そんなの、僕はお願いしてない。迷惑だ。」
「って、お前、好きな子でも居るの?」
僕の胸はドキンと鼓動した。
勝手に頬が赤くなる。
「居るよ。でも、誰かは秘密。だからもう、僕に絡まないでね。」
「そんな分け行くか!!これからも静は俺のものだから!!」
もう。
勝手にしてよ。
でも僕は、葵お兄さんの他は誰も要らなかった。
先生が来て皆が席に着く。
幹生も僕から離れて自分の席に着いた。
はぁ・・・良かった。
これ以上誤解されるような事はして欲しくは無かった。
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