幼馴染み

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僕は高校生になった。 兄さん達は、 都内で一緒にサロンを開いて、 美容師として働いて居る。 やっぱり年の差は大きいや。 二人の間に入るのは、 なかなか勇気が要った。 だって、 やっぱりそこにはなんとなく、 二人だけの空気が漂っていたから。 僕が学校から帰ってきてリビングに入ると、 兄さん達はテレビを一緒に見て居た。 僕に気付くと、 「おかえり。」 と声を掛けてくれる葵お兄さん。 兄さんも、声を掛けてくれる。 「静、手洗って来い。お菓子買ってあるぞ。」 「うん、手洗ってくる。」 ちゃんと僕も仲間に入れてくれようとする。 優しい二人だった。 二人は火曜日はサロンはお休みで、 いつもここ、僕の家に一緒に居た。 「そう言えば、また告られたんだって?」 葵お兄さんが僕をからかう。 高校に入って、 女子から告白されることが多くなったって、 兄さんに相談していたんだ。 それを、兄さんから聞いたんだろう。 もう・・・ 葵お兄さんには内緒にして、って言ったのに・・・ 「静は見た目もいいし、性格も優しくて穏やかだもん。モテ無い分け無いよ。」 葵お兄さん・・・ 僕が誰とどうなろうと、 全然気にしないんだね。 僕はちょっとだけ、 寂しくなった。
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