人混み絶対拒否

1/1
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ

人混み絶対拒否

俺は楔矢進斗18歳だ。今年から都市部にある大学に通うことになった。 しかし、俺はどうしても朝の通勤ラッシュが許容できない。暑苦しく、臭い、しかも病原菌で溢れている。潔癖症の俺には由々しき事態である。 そこで俺は春休みを利用し、電車における空いている場所、時間を自分の授業のスケジュールと照らし合わせ、避けて過ごすことができるか検証した。しかし、最近のホームは出口の位置をバラバラにすることで分散乗車させる工夫がなされており、ある一定の込み具合を下回ることがない。時間をずらそうにも必修科目が一限目に設定されている者も多く、現実的ではない。かなり早い時間でもイベントなどがあると混んでしまうようだ。 完全に詰んでしまった。絶望し、食事の時にダメもとで母親に相談した。 「そんなに嫌なら車の免許を取って車で通えばいいじゃない」 俺は戦慄した。そうだ、何も大学へ向かう手段は電車だけではない。車ならば誰にも干渉されることない空間を確保できる。 「だけど、朝は道路も凄く混むから大変よ?」 ふっ、大通りを使わない抜け道を探せばいいだけのこと。車の免許と並行で最適な通学ルートのリサーチと下見を入学式までに間に合わせて見せるっ。 「そのやる気が勉強にも向けられたらもっといい地方の大学にも行けたのにねぇ」 彼のやる気はそう、空回りしているのだ。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!