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次の休日、予約をとった私はシーネの入った紙袋を持って貴子さんのマンションへ向った。
部屋に入ると今日は先客が何人かいて、それぞれの足や腕にシーネやギプスが嵌っている。
中には車椅子に乗っている人も居たりして、ちょっとビックリしてしまった。
松葉杖は勿論、硬いギプスは歩くたびにゴツゴツ音を立て、フローリングに傷をつけていたけど貴子さんは一向に気にしていないようだった。
年齢はバラバラで中には高校生のような子も混じっていた。共通の趣味の集まりのせいか和やかな空間が出来上がっているように感じた。
それでも目に入る人が全員、腕や足にギプスが巻かれている光景は私には異様に映り、やっぱり尻込みしてしまう。
おずおずと部屋に入る私を皆は明るく迎えてくれた。
その中の一人の初見で高校生に見えた子が、一際積極的に話しかけてきた。
デニムのショートパンツから覗く白く長い右足は、膝を軽く屈曲させた状態で足の付け根から指の辺りまで頑強なギプスが嵌まっている。
いかにも活発そうなショートカットの小柄な外見と相まって、そのギプスは酷く不自由そうで重々しく見える。
けど同時にそのアンバランスさは、その女性と妙にマッチしているようにも見えた。
クリクリとした大きな眼を輝かせながら跳ねるような口調で立て続けに話し続ける。
率直に言って可愛い、何でこんな子がいるんだろう?
「あっ新しい人ね。ギプスじゃないんだ。それって腕用よね?利き手だったら上手く包帯巻けないでしょ、あたしが巻いてあげるね」
少し圧倒されたが自分で巻く練習もしたいので、利き手じゃないことを告げ申し出をやんわりと断った。
シーネを自分の左腕に固定していく際、不器用な手つきを見ていられなかったのか、その子は何度も手を出そうとして、その度に困った顔した貴子さんに優しくたしなめられていた。
左腕にシーネが嵌められ、皆と同じケガ人になると同時にその子が口を開いた。
「あっ自己紹介がまだだった。改めまして、あたしは紗英。お姉さんは?」
「あっごめんなさい、由香里です。こちらこそよろしくね」
一つ年下の藤木紗英ちゃんと私は、その日から親友のように仲良くなった。
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