白い解放

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思わず泣き出してしまった、もう終わりだと思った。 もうどうしていいか分からず、ただ泣きじゃくっていたら紗英ちゃんの小さな体がしがみついてきた。 「わかった、わかったよ由香ちゃん。由香ちゃんは全然おかしくないよ、普通だよ」 何故か紗英ちゃんも泣いていた。 「ほんとに・・・ひっ・きっ・・嫌いにならない?」 「ならない、ならないよ」 紗英ちゃんの言葉にホッとしたら、更に涙が出てきた。 「ありがとう・・・ありがとう・・・」 涙が止まらなかった。紗英ちゃんもだ。  それから2人とも30分は泣いていたと思う。 泣き止んだ後、実際骨折をさせるためにはどうしたらいいのかを相談した。 貴子さんのような知識や技術は持ち合わせていない。 簡単に思いつくのはハンマーや金属の硬い棒等で叩く方法だけど、あいにく一人暮らしの女性の部屋にはそのような物はなかった。 あれこれとアイデアを出し合った結果、紗英ちゃんのギプスで踏んで貰うことにした。ギプスなら硬いので思い切り踏んでもらえば骨折できるかもしれない。 浅はかだとは思うけど、もうこれ以上のアイデアは出てきそうにない。 ただ紗英ちゃんは小柄な上40㌔そこそこの体重なので、思い切り踏んで貰っても成功の確率は心もとない。 更に知恵を絞り出た答えは、椅子の上から私の左腕めがけ飛び降りて貰うというものだった。 次の休みを待っていては紗英ちゃんの足のギプスも外されてしまうので、このまま直ぐに実行することに決めた。
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