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「由香ちゃん本当にいいの?ホントに飛び降りちゃうよ」
「・・・うん・・お願い・・・」
「ホントにホントに、飛んじゃうよ」
「大丈夫・・飛んじゃって・・」
微かに声を震わせ私はテーブルの下でうつ伏せになりながら答えた。
さっきから動悸が止まらない、左腕は真っ直ぐ伸ばしたままだ。
さすがに怖いので目はつぶったままその時を待つ。
話あった結果、手首に近い場所なら細いので骨折しやすいと思ったので、そこを目掛けて飛び降りてもらう。
(・・・・・・・まだかしら?・・・紗英ちゃん?・・・)
思いのほか続く緊張に耐えかねて私が身を起こしかけた瞬間。
ガタンと音がして重い衝撃が私の左腕を襲った。
《バキッ・ぐちっ・ボクッ》
幾つかの異なった音と衝撃が同時に重なって私の全身に響き渡った。
「うぎゃう!あああああああああああああーーーー」
あまりの激痛に叫ぶ。とっさに紗英ちゃんは、テーブルの上にあった布巾で私の口を塞ぎながら必死に押さえつける。
「ごめんね、ごめんね、由香ちゃん、由香ちゃん」
「あああああー!ぐっううっ!んあああっ!むっ!ぐふうう・・・」
止まらない激痛を逃がそうと足の指をこれ以上ないくらいに開いて必至にもがく。
汗が涙が涎が、あらゆる体液が漏れだしてくる。
右腕もわずかに露出している指を思い切り握り閉め続けたのでギプスがミシミシと音を立てて割れそうだった。
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