白い開自

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「・・・私ね5つ歳のはなれた妹がいるの。その娘は北海道の実家にいるんだけど・・貴方達と同じ性癖を持っているのね」 「えっ?」 私たちは顔を見合わせた。 「中学生の頃からやけに怪我が多いからおかしいなって思っていたんだけど、妹が高校1年生の頃かな?あの娘が部屋で自分の指をハンマーで叩いている所を偶然見てしまったの、その時は気づかない振りをしていたんだけど、妹の怪我はどんどんエスカレートしちゃってね。高校生活は殆んどギプスや包帯を体のどこかに巻いていたの」 「 ・・・・・・・ 」 「まぁスポーツもやっていたし、両親や友達にはドジな子だと思われていたみたいなんだけれど」 私たちは黙って話を聞く。 「それでね、あの子が短大の2年目の時、通学中にスクーターで事故を起こしてしまったの・・・・事故自体は新聞にも載らないような小さな物だったんだけど」 「・・・・・・」 「怪我した場所が悪くてね、下半身不随になっちゃって車椅子生活になってしまったのよ・・・病室で宣告を受けた時のあの娘の顔を見た時、わたしは自分でワザと事故を起こしたんだと確信したわ。だって一生懸命悲しそうな演技をしていたけどあの娘の眼は恍惚としていて、同時にとても嬉しそうだったから」 「・・・・・・」 「それでねコッチに出てきてから、ネットで偶然あの娘と同じような娘たちが沢山いる事を知ってしまったのね。本当に驚いたわ、まさか怪我を望む人たちが他にもいたなんてね」 私と紗英ちゃんは無意識に三角巾で吊られている左腕に視線を移す。 骨折した肘がズキズキと痛みだした。
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