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黒猫の碧眼
おはよう、やぁ、おやすみ。
ありがとう、ごめんね、ありがとう。
それで、サヨナラ。
楽しかった事ばかり、本気で喧嘩した事さえも愛おしい。
桜の香りがする暖かな昼下がり、蝉の求愛に耳を塞いだ夜、空が高くて涼しくなってついでにサンマが美味しかったな。
雪の降る寒い日には君の温かな腕の中で眠る。
痛かった事も、悲しかった事も、寂しかった事も、寒かった事も。
みーんな忘れて幸せだった。本当だよ。
そう言えば、君は言っていたっけ。
『なんて綺麗な瞳なの』って。
柔らかい声、耳心地の良い優しい声で歌うようにさえずる君はなんて素敵なヒトなんだろう。
その手を握る事も、抱きしめる事も難しいけど毎日愛を囁く事は出来たから。
とても、幸せだよ。
『ソーダ色の静かな浅瀬みたいだね、そこで泳げたら気持ちいいかも』
げ、やめてよね。
痛そうじゃない。
......でも、君ならいっか。君だけなら。他の子は連れてきちゃヤダよ。
君の瞳はピカピカキラキラ、宝石みたいね。
ほら、あの琥珀って言ったかな、、、
金色でさ。あぁ、違う。
あの夜の、真ん丸お月さまみたいなんだ。
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