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朝焼けのそら
おはよう、君はまだ寝てる。
困ったお寝坊さんだなぁ。
欠伸と背伸び、両方したら気持ちいいんだよね。
やらなきゃ1日始まらない。
さて、身だしなみを整えないと。
身だしなみには気を付けてるんだ、男の子も女の子も嗜みでしょう?
そう言えば、君はいつも鏡に向かって黒い髪をとかしてる。艶々サラサラヘアーだね。ま、負けちゃいないけどさ。
『んー......おはよう』
あ、やっと起きたのお寝坊さん。
まだ随分と眠たそうだねぇ
挨拶代わりに頬をスリスリ。
一緒にご飯、食べようよ。お腹ペコペコ
『顔洗ってから作るね、まってて』
寝巻きのまま君は台所に立つ。
ちょっと! そこは台所だよ、洗面所はあっち。
もう、教えてあげなくちゃ。
『ありゃ、間違えた。へへ、寝ぼけてるや』
どんな間違いよ、ほら早く早く。
朝一お家で迷子になって、彼女がやっとたどり着いた洗面所から水の流れる音がする。
洗顔フォームのキャップをきゅぱっと開けて、クリームをたらり。
クシュクシュネットがしゃわしゃわと耳心地の良い音を奏でる。
なぁんかこの音好きなんだよねぇ。
ふわふわ、モコモコに立ち上がった泡で顔を包んでくるくるマッサージ洗い。
気の済むまでくるくるしたら、出しっぱなしの水を掌に集めて顔と手を洗い流す。
『ぷはっ。......はぁ、スッキリした』
昨日乾燥させたばかりのフカフカ水色のタオルで水を拭うと、水玉のコップに水を入れてピンクの歯磨きをシュコシュコ。
ヒトって朝の支度面白いよね。色々使わないと整わないんだから。あ、口をゆすいで完成ですね。
その間にも、お腹なってるんですけどー。
早くご飯にしようよー。
『はい、お待たせ。じゃあ作るね』
作ったのをチンでしょっ
まぁ、美味しいから許すけど。
冷凍庫から小さなタッパーを取り出すとそのままレンジでチン。
暑いから、冷ましている間に自分のご飯を準備だね。目玉焼きとハムサラダにクロワッサンか、って、昨日と一緒じゃない。
スープのまないの?
『あ、スープ忘れてた』
うん、よしよし。お腹冷やしちゃだめなんだから、温かいものからね。
テーブルにならべて、んん、良い匂い。
ほんわり、ほわほわ
『窓、開けるね』
テーブル横の小さな窓からさぁっと舞い込む風が、体全体を撫でていく。
『わぁ、良い風』
『早起きは苦手だけど、朝焼けは好きなんだよね。まだ何もない、明けたばかりの幸せな1日の始まり……なんちゃって! さ、食べよっか。いただきまーす!』
うん、好きだよ。
朝焼け。
空と風、じんわりするんだよね。
君との大切な1日の始まりだから、余計すき。
大好きな君と、今日も一緒に息をする
朝焼けのそらを眺めながら
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