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ふわふわな昼
あー、退屈。
何で毎朝出掛けちゃうんだろ。
仕方ないってわかってるけどさっ
『いい子にして待ってて、帰ったら沢山遊ぼ』
もう聞きあきたよー。
開いたカーテンからよく晴れた空が見える。いい天気。仰向けもわりと好きかな、景色がひっくり返って見えるから面白い
「おはよ、」
んあ? 誰よ
「ゴロゴロしちゃって、少しは動いたら?」
なんだ、あんたか。
「なんだとはナニヨ。どうせ暇してるだろうから折角飛んできてあげたのに、失礼しちゃうな」
別に、呼んでもいないのに毎日暇なの?
「わっ、かっわいくなーい」
失敬な、僕は男なんだよ【格好いい】の方が似合うだろ? 全くさ、君には何の為に良い目がついてるわけ?
「はいはい、色男さんね」
うわ、テキトー
「今日はあの子達も来てるのよ、久しぶりに来ない?」
あぁ、そうなのか。
んー、行きたい気はするけどねぇ......あの子が心配するからさいいや。
元気でいろよって言っといて。
「......あんたならそう言うと思ったわよ、全くご熱心な事ね。昔のあんた見てたら詐欺レベルの別な生き物だわ」
ふふん、わかってるじゃない。
これでも馴染むまでには苦労したんだから。
「いや、割りとすぐだったわよね」
べーだ、女の子が意地悪言うなよ。
「ま、いいわ。また来るね、今度はあの子達も連れてくるから」
んん、楽しみにしてるよ。ありがとう
***********
美しい羽だな、真っ黒で。
光る物が好き、と言っていたけどさ彼女自身が美しいと僕は思うんだけどね。お日様に当たるとキラキラ反射してさ、とても。
僕が自由に飛べたなら、朝出掛ける君の後を追って羽ばたいて行くのに。
終わるまで側にいて、帰りも一緒に戻るんだ。
流行りのパンケーキとか食べに寄り道したら、一口わけっこしてくれるかな。
甘い甘い蜜の香りに鼻が擽られて、君はほっぺをおさえて『んふふ』と幸せそうに笑うんだ。
そんな甘い事を考えて、もう一眠り。
君の食べるパンケーキみたいにふわふわなあたたかい昼。
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