雑踏を越えて。

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 密は、茜から受け取った名刺を見て、にやりと笑った。 「離婚成立、おめでとうございます、美桜茜さん」 「有難う。密が全面的に協力してくれたからよ。お陰で、あの女癖が悪い夫…元夫から、たっぷり慰謝料を搾り取れたわ」 2人は、固く握手を交わした。 「こちらこそ、素晴らしいネタを提供してくれて有難うございました」 密は、密がさる大賞を受賞して満面の笑顔で写真に写る記事を見せた。 「どろどろの離婚劇が、素晴らしい犯罪小説作家を生み出すきっかけになれて良かったわ。引っ越すのよね」 「はい。最後のご挨拶に伺いました」 「元気でね」 2人は堅い抱擁を交わし、事務所を出た密の姿は、人込みに紛れて見えなくなった。 The End.
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