あの子がいなくなった

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薄暗い部屋の中。 僕は辺りを見回す。 あの子がいなくなった。 ろうそくの灯りが揺れる。 急に酸素が足りなくなる。 …どうしよう。 震える手で、ふすまをそっと開ける。 廊下は真っ暗だった。 新月で月明かりもない。 もう一度、部屋の中を見回す。 8畳の部屋には、ろうそくが均等に置かれている。 開いたふすまから流れ込む風に、灯りが再び揺れる。 どうしよう。 どうしよう。 どうしよう。 あの子がいなくなった。 灯りが揺れる。 汗が流れていく。 僕のせいだ。 どうしよう。 何かが起きたら…。
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