砂の男
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週3最後の夜勤を終えて、放送局の自動ドアを出ると、スチームサウナのような熱気に乾いた肉体を包まれ、思わず「ぐっ」と呻くような低い声を発した。自動音声のような仕事中の発声とは違い、感情のこもった自分の声を頭蓋骨越しに聴いて、嬉しさをおぼえた僕は自分と交代で放送局に入る清掃員の老婆をニヤリと見つめた。老婆は異物に対して向けるような怪訝な顔をして、何もいう事もなく、真っ青な清掃道具を持って放送局へ入っていった。
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