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徘徊する宇宙神
警察庁祓魔課の完結 時をかける勇者と復活の欠食児童編
クリステラ・エルネストは勘解由小路降魔と共に、異世界アースツーの神界を訪れていた。
多くの神は、勘解由小路の存在に怯え、警戒しいているようだった。まあ冥界の王ハデスを相手にして、平静としていられる方がおかしい。
「まあそんなに固くなるなよ王女。クリ子と呼んでいいか?」
「それは構わないけど、私クリステラだって言ってるわよね?」
「ああそうだったっけ。娘の碧がつけた名前だしな」
「何かみんな怯えてる。何したの?おじさん」
「ちょっとビビらせといた。まあ気にするな」
「実際大丈夫なの?急に神になっちゃって」
「まあ心配するだろうな。実際最高位の元気いっぱいな神な訳だしな。だが安心しろ。ハデスと俺のシンクロ率はうなぎ登りで、暴走とか裏切りは絶対にない。ハデスは最高の偏屈野郎だが、奴の望みは好きで好きで堪らない嫁と一生イチャイチャしたいだけの野郎だ。嫁は神話級のヤンデレのツンデレだが、俺の望みは、ハデスと一緒だ。つまり、最高のエロ嫁ちゃんと一生イチャイチャしたいのが俺だ。そういう展開は存在せん。鍵はプロセルピナだったが、どういう訳か真琴は俺のことが好きで好きで堪らんのだそうだ。要するに俺達のハッピーエンドはもう済ませた。あとはジョナサンだけだ。ああ?お前あんなのと知り合いなのか?屁の神だぞあいつは」
「ああ。バボーンね。一回会ったわ」
「問題はガイアだろう。アースツーの再生はガイアが担ってるだろう。ああ見つけた。おい杏子!調子はどうだ?!」
「!何だ。降魔じゃない。今それどころじゃないのよ。大変よ。アースツーの再生どころじゃなくなった」
「何があった?」
ガイアは、クリステラを一瞥して息を吐いて言った。
「カリクスが消えちゃったのよ。探さないと」
え?
「ああそうか。ボケたお爺ちゃんがいなくなっちゃったんだな。警察に言わんでいいのか?」
「つまらない冗談はやめて。イーサンがいないとどうにもならないわ。一度こうなってしまったら最後、数千年は戻らない。ボケてはいてもカリクスは神界における最終決定権を持っている。このままではアースツーは闇に飲まれたまま宙ぶらりんで放置されることになる」
そんな結末は嫌だ。
最高の宇宙神。最も古い神カリクスは、徘徊してどこかに消えていたと言う。
「あれだな。徘徊お爺ちゃん用にGPS用意せんとな」
何とも呑気な声で、勘解由小路は言った。
これが、アースワン、アースツーをめぐるしょうもないバタバタしたスラップスティックの始まりだった。
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