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 飯野家からの聞き取りは、パーティー会場の向かいの部屋が使われた。  香澄が案内したのだった。  10畳程の部屋には、ロココ調の家具で統一されていた。どれもまるでツンとすました猫の足のような曲線を描いている。  志童は首を傾げた。  「なぁ琉・・・この屋敷って全体的に北欧のイメージだよな?どうしてここだけイタリアなんだ?」  琉が答えるよりも先に答えのは香澄だった。 「志童さん、流石ですわね。この家はもともとお母様の趣味でイタリアから取り寄せた家具で統一されてましたの。けど・・・」  そう言って香澄は杏子に冷たい視線を浴びせた。 「彼女がここへ来てからは、どういうわけかどんどん北欧家具に代わっていきましたわ」  そしてテーブルの脇で立ったままの杏子の元へ行き椅子を引いた。 「さぁ、お座りになって。お母様の揃えた家具に・・・・」 「ひぃっ」  杏子は声にならない声を上げた。 「やめないか」  そう言って杏子の肩を抱いたのは庄吾だった。 「お父様はそうやってまた、この人を庇うのね・・・・」  そう言うと香澄はさっさと席に着き、未だ立ったままの両親を無視して久遠警部ににこりと笑いかけた。 「さぁ、何が聞きたいのかしら。なんでもお聞きになって」  おかしな光景だった。10人掛けの大きなダイニングテーブルに座っているのは香澄だけだ。俺と琉、そして久遠警部は立っている。飯野夫妻に至っては、まるでその椅子に座るのさえ、怯えているようにも見えた。  久遠警部は腕を背中で組んだまま数歩歩くと、静かに言った。 「えぇ、まず私が聞きたいのはなぜ、そこまで杏子さんが怯えているか?ということです」  その言葉に、杏子はわずかに肩を震わせた。
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