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「これはこれは、もう午後だと言うのにまさかの寝起きですか?いいご身分ですね」  相変わらずの毒舌。  志童はあからさまに迷惑そうな顔をした。  現れたのは、久遠雪平と祇園寺相馬だった。  嫌悪感丸出しの志童に代わり、答えたのは琉だった。 「これはこれは、久遠警部に祇園寺刑事ではありませんか。今珈琲をお入れいたしますので、どうぞおかけください」 「では、お言葉に甘えて」  そう言って、久遠警部と祇園寺刑事は志童の向かいに腰を下ろした。  相変わらずふたりとも感情の読めない顔ですましている。  慶覚が志童の隣に座り、探る様にふたりを見ていた。 「ちょっと志童ちゃん」  慶覚に肘でつつかれ、面倒そうに髪をかき上げながら言った。 「えっと・・・今日はまた突然にどうして・・・・」 「えぇ、先日のお礼を兼ねて友人の元へ来たというわけですよ。それにしても、志童さんは相変わらずですね」  口の端で笑った久遠警部の目は笑っていない。 「そ・・・そうでしたか・・・・・」 「志童はん、そちらのかいらしお嬢さん。僕らにも紹介してもろうても?」 「え?あぁ・・・・」  慶覚は志童の隣に腰を下ろすと、ニコリと笑って見せた。 「えっと・・・慶覚こちらはこの前尊の代わりに行った先で知り合った警視庁の久遠警部と祇園寺刑事」 「えっ?じゃぁあの時の事件を担当したっていう?」 「まぁ・・・そう」  慶覚は久遠警部と祇園寺刑事に向かって姿勢を正すと、ちょこんと頭を下げた。 「慶覚です。ここの2階で占いをしているんです。刑事さんたちも良かったら今度いらしてくださいね」 「ほう・・・占い・・・とはまた・・・・」 「覚りはんの占いでしたら、ほんまよう当たりそうですわぁ」 「えっ?」  祇園寺刑事の言葉に慶覚は、目を瞬かせた。 ___この男、心が読めない・・・・・何者? 「お待たせいたしました」  ちょうどその時、琉が珈琲を持って現れた。  不審げに祇園寺刑事を見る慶覚に琉は言う。 「祇園寺刑事は陰陽師なんだそうです。なんでもご先祖はかの蘆屋道満様であるとか・・・」 「蘆屋道満・・・・それでなのね・・・」  どこか納得するように慶覚はしげしげと、祇園寺刑事を見た。 「そんな見つめられはったら、なにやら照れてしまいますなぁ」 「あっ、ごめんなさい・・・・」  慶覚は慌てて視線をそらした。 「単刀直入に聞くけど____」  口を開いたのは志童だった。 「もうお見通しみてぇだから言うけど、ここは琉や慶覚の他にも妖たちがいる。あんた達は俺達の敵か?」  そう言った志童の目は、真剣そのものだった。 「ほう・・・主殿はそんな目もされるのですね」  関心したように久遠警部が言うと、琉が口の端で笑う。 「志童様を見くびって頂いては困りますね。これが本来の私たちの主の姿ですよ」 「そうそう。たまにしか見せないけどね」  慶覚が肩を竦めた。 「ばっか、お前たちちゃかすなって・・・・で、久遠警部答えて欲しい」  志童に言われて久遠警部は姿勢を正すと、腹の読めない笑みを零した。
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