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 気を失いかけた香澄の身体をあわてて支えた。 「大丈夫ですか?しっかり・・・・」  こんな状況でしっかりできる者の方がむしろ珍しいだろう。そうは思いながらも、志童は香澄にそう声をかけると、人ごみの中から連れ出した。 「なんだ、今の悲鳴はっ」  あとから駆け付けた庄吾が真っ青な香澄を見て、眉を寄せた。 「少しよろしいでしょうか」  琉がすかさず庄吾に歩み寄ると小声で何かを伝えた。  みるみるうちに庄吾の顔が青ざめたところを見ると、琉はクリームパスタの中身を伝えたのだろう。  と、次は会場の外から悲鳴が上がった。 「今度はなんだよ!」  志童は椅子に香澄を座らせると、琉と共に会場を飛び出した。  玄関のエントラスホール。 「志童様、あちらです」  そう言って琉が指さしたのは、階段下にあるトイレだった。  「行こう」  琉とふたりすぐにトイレに向かった。  男性用、女性用が分かれている。  女性用トイレのドアが半開きになっていた。  いささかの抵抗はあったものの、志童はその扉を開いた。  そこにはやはり招待客であろう女がひとり、腰を抜かして床にへたり込んでいた。  「どうしましたか!」  「ああああぁぁっぁぁ・・・あれ・・・ぁれ・・・・」  どうやら震えてしまって言葉がうまく出ないようだった。  女は震える指先を、トイレの個室に向けていた。 「琉、彼女を」 「御意」  志童は腰を抜かして震える女を琉に託すと、個室を覗き込んだ。 「・・・・っ!」  そのまま志童は壁際まで後ずさりすると、壁に沿ってへなへなと座り込んだ。  志童が見たもの_____  女が殺されていた。  両の目玉がない。体が不自然に潰れていて、口からは内臓が出ていた。まるで体中の臓器を口から引き出されたかの様に。 「志童様?」 「え・・・あぁ・・・あの・・・パスタの具の持ち主がいらっしゃる・・・」 「左様ですか・・・・」  そう言って琉は、女を壁にもたれさせると自らも中を確認した上で、何事かと駆け付けた庄吾に琉は向き直ると冷静に告げた。 「先ほどの目玉の持ち主と思われる方が亡くなっておられます。すぐに警察を呼んでいただけますか。あぁそれから招待客の皆様をとどめておいた方がよいでしょう」
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