カトレア咲く窓

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所変わって公民館の廊下。男と彼女はあっという間に親しくなっていた。横に並んで彼女は男の見の上話を根掘り葉掘り聞いている。 また、男は廊下の窓の外の青空に向かって、 「岡山、静岡、大坂、東京かな、これまで居たのは。」などと胸張って通り過ぎる人皆に聞こえるような声で話しているが、窓外の青空のどこかをじっと見て話している男は、自分の声の大きさに気が付かない。空に向かって告白しているかの様で、彼女の方は、というと、すっかり男と打ち解け、2人、会話の世界に入ってしまい、ざっくばらんにあれこれ質問を繰り出した。その時間がそのまま続けばいい、と思いながら。
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